【会計・税務】持分の定めのある医療法人から持分の定めのない医療法人への移行
皆さまこんにちは。
大阪上本町の税理士法人ウィズアス 中野学です。
段々と寒くなって、冬のおとずれを感じますね。
皆さま、いかがお過ごしでしょうか。
前回のコラム【医療法人の出資持分とは】でご案内いたしましたが、本日は、持分の定めのある医療法人から持分の定めのない医療法人への移行についてお話ししたいと思います。
持分の定めのない医療法人から持分の定めのある医療法人への移行はできませんが、持分の定めのある医療法人から持分の定めのない医療法人への移行は可能です。
まずはその移行手続きについて、見ていきましょう。
目次
持分の定めのある医療法人から持分の定めのない医療法人への移行手続き
移行手続きは、主に定款の変更です。
医療法人の定款に書かれてある、「医療法人を解散させた場合には、出資者に財産を返還する。」や「医療法人の出資者は、出資割合に応じて財産の返還を受けることができる。」等の文言を削除します。
そうして新しく作成した定款を都道府県に提出し、許可を受ければ、持分の定めのない医療法人への移行は完了です。
手続き自体はそう難しくはないのですが、注意点がございます。
移行手続きにおける注意点
移行手続きにおける注意点は、贈与税の課税です。
贈与税は贈与を受けた個人に課せられる税金です。
ではなぜ、持分の定めのある医療法人から持分の定めのない医療法人へ移行した際、医療法人に対して贈与税が課税されるのでしょうか。
持分の定めのない医療法人へ移行するということは、持分である財産権を放棄することです。
例を挙げて考えてみましょう。
ドクターAとドクターBの2人で500万円ずつ出し合い、医療法人を設立したとします。
設立後、ドクターBが自分の持分を放棄しました。
ドクターAの設立した医療法人に対する持分はいくらになりますか。
答えは、1,000万円です。
ドクターBが自分の持分を放棄することにより、ドクターAの出資持分が500万円上昇し、1,000万円になったのです。
この場合、価値の上昇分である500万円に対して、贈与税が課税されます。
直接、贈与を受けたわけではないのですが、出資持分の放棄により、間接的に他の出資者に価値が移るため、贈与税か課税されるのです。
持分の定めのない医療法人へ移行するということは、出資者全員が持分を放棄してしまうため、贈与税を課税される対象者がいなくなります。
そこで、本来は個人に課税される贈与税を、医療法人へ課税するというわけです。
ただし一定の条件を満たせば、贈与税が非課税となります。
贈与税の非課税条件について
贈与税の非課税条件ですが、その条件が厳しく、持分の定めのない医療法人への移行は進んでいない状況でした。
そこで平成29年10月にその条件が緩和されました。
平成29年9月30日までの贈与税の非課税条件は、次のとおりです。
- 医療法人の理事を6人以上、監事を2人以上にすること。
- 医療法人の役員は、親族を3分の1以上いれないこと。
- 法人関係者に利益供与をしないこと等。
2の医療法人の役員は、親族を3分の1以上いれないことがネックとなっていたのです。
日本の医療法人の多くは、親族が役員となっているケースがほとんどです。
現在親族で経営されている医療法人が、他人の役員を迎え入れてまで、贈与税の非課税にしたいと考えるでしょうか。
そう考える人は少ないと思います。
そして、やはり持分の定めのない医療法人への移行は進みませんでした。
そこで厚生労働省は、平成29年10月に条件を緩和し、親族を3分の1以上いれない条件をなくしました。
厚生労働省のパンフレットリンクをお知らせいたしますので、ご興味の持たれた方は、ご覧ください。
【厚生労働省_「持分なし医療法人」への移行を検討しませんか?】
いかがでしょうか。
制度を利用するにしても、メリットデメリットの精査は必要です。
われわれ専門家にお任せください。
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昨日より今日、今日より明日が素晴らしい日となるように。
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