【会計・税務】 相続時精算課税制度とは?_後編
皆さまこんにちは。
大阪上本町の税理士法人ウィズアス 中野学です。
梅雨入りが例年より遅く、不安定な気象状況ですね。
昨年は天災の多い年でしたので、今年は何ごともなければうれしいのですが。
さて、前回は『相続時精算課税制度とは?』をお話しいたしました。
今回は後編をお話しいたします。
前回のコラムにおきまして、相続時精算課税利用が効果的なケースをご紹介いたしました。
その判断を裏付けるのは、メリットデメリットです。
まずメリットから見ていきましょう。
目次
相続時精算課税制度のメリット
- 2,500万円の非課税枠
通常の贈与であれば、年間110万円を超える資産を贈与した場合、贈与税がかかります。
しかし相続税精算課税制度を利用すれば、2,500万円の非課税枠がございますので、多額の資産を贈与したい場合、贈与税の負担を抑えることができます。 - 相続争いの回避
相続財産があれば、遺産分割において争いのもととなるケースが多々あります。
相続時精算課税制度を利用して、被相続人が生前に財産を贈与することにより、相続が発生した際の争いを防ぐことができます。 - 収益物件の贈与で、財産の増加防止
賃貸アパートなどの収益物件を所有されていると、その利益相当額の財産が増加します。
財産が増加するということは、相続発生時の課税対象となる財産が増加することを意味します。よって収益物件を生前に贈与しておけば、相続発生時の課税対象財産の増加を防ぐことができます。 - 値上がりが予想される財産贈与で相続税を節税
相続時精算課税制度を利用して贈与した財産は、相続発生時「贈与した当時の価額」でもって、相続財産に加算されます。
よって贈与した後に値上がりが見込める財産贈与であれば、相続税の節税に効果的です。
相続時精算課税制度のデメリット
- 制度利用による暦年贈与の使用不可
相続時精算課税制度を一度でも利用した場合、以後暦年贈与は使えなくなります。なぜそれがデメリットなのでしょうか。
前編でふれましたが、相続時精算課税制度利用の贈与は、相続時に課税財産として加算されます。
110万円の非課税枠がある暦年贈与であれば、相続時に加算されません。例えば、
【贈与額:1,000万円 相続財産総額:8,000万円 相続前3年間の贈与は考慮しない場合】相続時精算課税制度を利用すれば、1,000万円の贈与に対して贈与税はかかりませんが、相続発生時9,000万円(贈与額1,000万円+相続財産総額8,000万円)の財産に対して相続税が課税されます。
一方、暦年贈与で1年につき100万円の贈与を10年間(贈与額1,000万円)実行し相続が発生した場合、贈与税は基礎控除範囲内のため課税されず、相続財産総額8,000万円に対しての相続税課税となります。
- 贈与財産の値下がりによる相続税負担増
先にお話しいたしましたメリットの逆です。
相続時精算課税制度利用で贈与した財産が、相続時に価値が急落した場合であっても、贈与時の価値でもって相続財産に加算されます。上場株式であるX社株、2,000万円を相続時精算課税制度と使って贈与したとします。
極端な話、相続時にX社が倒産してしまいその価値が0円となったとしても、贈与価額である2,000万円が相続財産に加算されます。 - 小規模宅地等の特例使用不可
相続時精算課税制度を利用して贈与した土地は、相続発生時に小規模宅地等の特例は使用できません。小規模宅地等の特例について、簡単に触れておきます。
小規模宅地等の特例とは、被相続人が自宅・店舗・事務所などとして使っていた土地をする場合、土地の価格を一定の面積までは最大80%減額して評価する制度です。
最大80%減額評価が利用できなくなるのは、大きなデメリットといえます。
いかがでしょうか。
前編の有効な制度利用ケースの判断材料として、後編では相続時精算課税制度のメリット、デメリットをお話ししました。
色々な制度がある中、お客様にとって最良な選択をご提案できるよう、心がけております。
お気軽にご相談ください!
では、次のコラムでまたお会いしましょう。
当社は、大阪天王寺区で数十年お客様のコンシェルジュとして、お金にまつわる問題を解決してきた税理士事務所です!
笑顔ある経営を創造したい!を、スローガンにしている当社は皆さまにしっかりと税について知っていただくため、一人一人しっかりと向き合い、納得いくまでお話しします。
昨日より今日、今日より明日が素晴らしい日となるように。
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