過去の赤字、前期の黒字の活用方法について(災害損失の繰戻し還付、コロナ特例も)

皆さまこんにちは。

大阪上本町の税理士法人ウィズアスの的場です。

 

本日は、法人の事業年度をまたぐ税金のお話をします。

 

過去の赤字を活用 ~青色欠損金の繰越控除~

 

法人において一定の要件を満たせば、過去の赤字がある場合に、当期が黒字であっても過去の赤字を当期の損金に算入することができます。

 

これには以下の要件が必要です。

  • 欠損金が生じた事業年度において、青色申告書である確定申告書を提出
  • その後の各事業年度について連続して青色申告書である確定申告書を提出していること

 

上記のような場合に、確定申告書を提出する法人の各事業年度開始の日前9年(注1)以内に開始した事業年度で青色申告書を提出した事業年度に生じた欠損金額は、その各事業年度の所得金額の計算上損金の額に算入されます。

 

(注1)平成30年4月1日以後開始する事業年度で生じた欠損金は10年

 

つまり、簡単にいいますと当期において500万円の利益が出ても、5年前の500万円の赤字があれば5年前の赤字を当期の損金に算入できます。

その結果、当期の所得はゼロとなり、所得にかかる法人税や地方税もゼロとなります。(それ以外の消費税や地方税の均等割りは別です。)

 

そして、中小法人等に該当する法人においては、各事業年度の欠損金額の全額が控除限度額となります。

一方で、中小法人等以外の法人、つまり資本金又は出資金が1億円超の普通法人や公益法人等、協同組合等、人格のない社団等については、控除限度額に制限があります。

平成24年4月1日から平成27年3月31日開始事業年度・・・所得の80%

平成27年4月1日から平成28年3月31日開始事業年度・・・所得の65%

平成28年4月1日から平成29年3月31日開始事業年度・・・所得の60%

平成29年4月1日から平成30年3月31日開始事業年度・・・所得の55%

平成30年4月1日から開始事業年度・・・・・・・・・・・・所得の50%

 

 

前期の黒字を活用 ~青色欠損金の繰戻し還付~

 

それでは前期の黒字を利用することはできるのでしょうか。

 

 

実は・・・ できます!

 

欠損金の繰戻しによる還付という制度があります。

これは簡単にいうと、前期が黒字で法人税を支払っており当期において赤字となった場合において、前期に支払った税金を還付してもらえる制度です。

 

(1)でお話した青色欠損金の繰越控除は、前期の赤字を当期の損金にする(赤字を翌年以降に繰り越す)のに対して、

この欠損金の繰戻し還付という制度は、当期の赤字を前期の損金にする(つまり赤字を繰り戻す)ことになります。

 

還付金額の計算は次の通りです。

還付所得事業年度の法人税額

(前期)

× 欠損事業年度の欠損金額

(当期)

還付所得事業年度の所得金額

(前期)

 

これには以下の要件が必要となります。

  • 各事業年度において連続して青色申告を提出する中小企業者等の法人
  • 欠損事業年度における青色確定申告書を期限内に提出していること
  • 上記の申告書と同時に欠損金の繰戻しによる還付請求書を提出すること

 

新型コロナ特措法による欠損金の繰戻還付の特例(追記)

 

新型コロナウイルスによる甚大な影響を鑑み特例が認められることとなりました。具体的には、以下のように適用対象範囲が拡大されています。

  • 資本金が1憶円超10憶円以下の法人についても青色欠損金の繰戻し還付を受けることが可能(ただし資本金10憶超の法人の100%子会社等は除く)
  • 令和2年2月1日から令和4年1月31日までの間に終了する事業年度に生じた欠損金額について適用される

 

このような未曽有の非常事態ですので、あらゆる手段で資金を確保すべきです。過去に納付した国税についてだけでも還付を受ける方法があることを知り、是非活用してください。

 

災害損失の繰戻し還付 ~平成29年度改正で常設化~

 

このコラムを書いている今年でも、平成30年6月の大阪府北部地震や、平成30年7月集中豪雨(通称、西日本豪雨)や、台風21号による甚大な被害がありました。この場を借りて心よりお見舞い申し上げます。

 

このような災害などの臨時的な損失があった場合における繰戻し還付については、平成29年度改正により常設されることになりました。

 

災害(注1)があった日から1年(中間期間の場合は6ヶ月)を経過する日までに終了する事業年度において生じた災害損失欠損金額(注2)がある場合には、その事業年度又は中間期間開始の日前1年(青色申告の場合2年)以内に開始したいずれかの事業年度の法人税額のうち災害損失欠損金額に対応する部分の金額について、還付の請求をすることができます。

 

ここで欠損金全額に適用されるのではなく、災害による損失に係る欠損金に限定されている点に注意が必要です。

 

(注1)災害とは、震災、風水害及び火災その他自然現象の異変、その他の人為による異常な災害並びに生物による異常な災害を言います。

 

(注2)災害損失欠損金額とは、災害欠損事業年度の欠損金額のうち、棚卸資産、固定資産、繰延資産について災害により生じた損失の額(保険金等により補填されるものを除く)をいいます。

 

還付金額の計算は次の通りです。

還付所得事業年度の法人税額

(前期、前々期)

× 災害欠損事業年度の災害損失欠損金額(当期)
還付所得事業年度の所得金額

(前期、前々期)

 

これには以下の要件が必要です。

  • 還付所得事業年度から欠損事業年度の前事業年度までの各事業年度について連続して確定申告書を提出していること
  • 欠損事業年度における確定申告書又は中間申告書を提出していること
  • 上記の申告書と同時に欠損金の繰戻しによる還付請求書を提出すること

 

 

★ 青色欠損金の繰戻し還付との違い ★

  • 白色申告書の法人でも適用可能
  • 資本金が1億円を超える法人でも適用可能
  • 災害後6ヶ月以内に終了する中間期間の中間申告でも適用可能(還付を早く受けることができます)
  • 青色申告法人の場合、2年前に開始した事業年度の法人税まで還付対象

 

このような非常事態について、国も配慮をしてくれていることが分かります。

お困りの方はいつでもご相談ください。

 

 

では、次のコラムでまたお会いできればと思います。

 

 

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笑顔ある経営を創造したい!を、スローガンにしている当社は皆様にしっかりと税に関する知識を知って頂きたいので、一人一人にしっかりと向き合い、納得いくまでお話をします。

昨日より今日、今日より明日をより良くできるように。

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